進行あるのみか(悲)

 雑用に追われて更新が滞っている間に、夫の病状は粛々と(!)進行している。

 

 まず、食事量が極端に減った。夫の好物を選んで供しているが、「おいしいけれど食べられない」と残す。なおかつ先日には、「あと一口食べてとは言わないで」と、念を押された。

 

 外出時、私が階段を使わずにエレベーターやエスカレーターを使うと夫はバカにして笑っていたが、今はもう階段が辛いようで、楽な方を素直に選ぶ。

 

 夫の食欲が目に見えて細ったのを機に、辰巳芳子さんの「いのちのスープ」を作るようになった。コンソメとポタージュを作ってみたところ、ポタージュ(野菜類がとろとろに混ざっており、牛乳も使っている)はもう飲み込めないとのことで、今は野菜のコンソメのみ作っている。

 味見をするたびに、野菜だけでこんなにいい味が出るのかと、感心している。

 

 ただ、超お嬢様育ちである辰巳さんのように素材の産地まで特定するのは無理なので、可能な範囲でアレンジをしている。

 

 悩みといえば、スープに使った大量の野菜の使い道である。

 ジャガイモ、玉ねぎ、にんじん、セロリ(干し椎茸は苦手なので、あまり食べたくない。苦笑)。決して出がらしではなく、いい味なので、そのままポテトサラダにしてもおいしいのだが、なんせ量が多く(辰巳さんの主張によると、スープは大量に使ってこそいい味が出るというので、いちおうそれを守っている)、サラダだけでは消費できない。

 

 朝食時、パンの上に野菜類を乗せ、マヨネーズをかけてトーストにしたり、カレーの具材としてどさっと放り込んだり、カボチャを加えてサブジにしたり、etc.

 私1人で消費しなければならないので、3日目ぐらいには、菜っ葉が食べた〜い!  緑の野菜が食べた〜い! と、心で叫ぶことになる。

 自分に無理強いしては元も子もないので、嫌になったら捨ててもいいよと自分に言い聞かせているが、今日までのところ、好物の油っぽい料理(肉、野菜の天ぷらや炒め物など)を間に挟むことで、かろうじて、すべて消費できている。

 

 夫を見ていて気の毒なのは、楽な姿勢がないことだ。

 辛いときにはとりあえず横になる、という対処法が役に立たない。寝てもしんどさは軽減されないどころか、胸のむかつきを覚えるという。

 すでに消化器系統全般に支障が出ているので、食べ物を少しでも口にすると、食道の詰まった感があり、吐き気、胃の圧迫感等々が出てくるようで、辛そうである。

 ゲップが出たらちょっと楽になり、排便すればかなり楽になるそうだが、それがうまくいかない。そもそも食べる量が極端に少ないのでウンチもそう溜まるはずがないのだが、膨満感があるのだろう。

 

 夫はいま週に1回、緩和ケア病棟のある病院に通院している。そして、「来週は一緒に来て欲しい」との要望があった。入院について相談したいから、と。

 

 しばらく前、担当医から、今のうちに介護保険の申請をしておいた方がいいですよ、とのアドバイスをもらっていた。在宅で過ごす場合、認定のレベルによって受けられる援助があるからだ。

 

 手続きは私が行い、認定員さんの来訪にも立ち会った。

 その結果が数日前に届いた。「要介護2」との判断だった。

 

 コロナ禍さえなければ、夫はとうに入院を選んでいたことだろう。

 ただ現在は、入院すると、知人友人との面会がままならない。

 妻の私でさえ、1回5分の面会ができるかどうかという状況である。

 

 緊急事態宣言下の今、何が夫にとってより良い選択か。

 

 通常は入院生活を送り、知人友人と会う時には1泊2日で帰宅できるように介護ベッド他を申請するか。

 来週火曜日の通院では、その辺りを相談しようと考えている。