公証人役場にて

 今日、公証人役場での手続きが終わった。

 書類は2通。

 「遺言公正証書」は、長年にわたり付き合いのある、夫の「信頼できる友人(男性)」2人が証人となって、署名押印を行ったそうだ。私が招き入れられたのは、この手続きが終わった後のことである。

 私が関わったのは、「死後事務委任契約公正証書」という代物である。こちらの方が、現実的には、はるかに面倒くさい。

 

 夫は葬儀を拒否するのみならず、火葬後の納骨も拒否。骨は散骨せよとのたまう。

 親類縁者への通告と、それに伴う行事も拒んでいるので、私としては、短くとも49日が済むまでは、連絡を控えた方が良さそうである。

 しかし、である。

 いたって平凡で穏やかな関係を築いている兄弟姉妹にも死後すぐに連絡しなかった結果もたらされるであろう否定的リアクションを想像すると、今から憂鬱になる(苦)。

 

 他方で夫は、夫について語り合う「飲み会」は否定しないどころか、開催を希望している。その実務仕事は私に降りかかってくるわけで、実にめんどくさい(苦笑)。

 

 抗がん剤治療を拒否した夫は、痛み止め薬を飲みつつ、食欲を回復させている。顔色も良く、仕事(頭脳労働)も復活してきたようだ。

 

 あとは、なだらかに進行するがんの増殖といつまで折り合いをつけられるかという、ある意味、時間との戦いになる。医師によると、あるとき急に抵抗力が落ち、その後は心身ともに思うように動かなくなるそうな。

 短ければ数カ月、長ければ数年。

 

 たたかいは続く。