ご挨拶(?)食事会

 夫は、抗がん剤治療をやめた。現在服用しているのは、膵臓の機能停止に伴う消化器官の不具合によって生じる痛みを緩和する薬だけである(日本語としての難あり)。

 

 仕事関係者や知人・友人のうち、どの人にどの順番で末期癌だとを伝えるのか。

 夫なりの判断基準があるようで、これまでに4度、そのような機会があった。

 

 夫が一目も二目も置く後輩と、その連れ合い(彼女も夫とは長い付き合いがあり、その関係で出会った男性と結婚した)。若い2人なので、夫の蔵書のうち、欲しいものを持って帰ってもらうことにしたようだ。

 

 2度目は、仕事仲間との集い。私は、夫の仕事領域には立ち入らないことにしているので、懇親会のみ、食べ物を持参して参加した。

 

 3度目は、公証人役場で夫の遺言書に署名をしてくれたお2人との、お礼を兼ねた食事会である。

 新型コロナが蔓延する前であれば、飲食店で一席を設ければよかったが、今はそうもいかない。なじみの店の好きな料理を予約してテイクアウトし、自宅で食事会を開いた。2人ともよく飲むおっさんなので(夫の友人ならそれは当然だ)、飲食店でのアルコール提供が禁止されている今は、自宅で飲み食いするしかない。

 

 4度目が今日。自宅に招いた女性は車でやってきたので、彼女のみアルコール抜きのランチになった。かつてはお酒を飲んでいた人なので、自分でノンアルのビール缶をいくつも持ってきていて、笑った。私も同じものを用意していたので、発想が一致したね〜と、大笑い。

 

 夫に食欲があり、お酒もそれなりに飲めるであろう今。この期間に会った方がいいと思われる2人(夫妻)がいらっしゃるのだが、お知らせの文面をどうするか決まらないらしく、夫はまだ躊躇している。

 

 それが実施できたら、私の知人友人で、夫とも親しくしていた方々との食事会を開きたいと考えている。こちらはほぼノンアルなのが寂しいけれど(爆)。

 

 死後の「集い」よりは、元気なうちのお別れ会の方がはるかにいいと、実感している「いま」である。